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社員ブログ

来るべきモビリティ社会と駐車場業界 2(業界のこれからを考えます)

今回は、前回のブログで取り上げました、今起りつつある大きな変化「2.自動運転技術の普及」が駐車場にもたらすもの、というテーマで考えます。

つまり自動運転は、駐車場という「器」に対してどのようなインパクトがあるのか、という観点から考えます。それはとりもなおさず「無人自動バレーパーキング」について考えるということになります。

では無人自動バレーパーキングとは何なのでしょうか。いやその前に「バレーパーキング」とは何かご存じでしょうか。

バレーパーキングの「バレー」とは英語の valet で、従僕とか世話係の意味ですが、レストランやホテルの駐車場係という意味もあります。日本では、施設の車寄せで車を預かり、所定の場所に移動して保管してくれる駐車場のことを言います。

では無人自動バレーパーキングとは何なのでしょうか。

それは、駐車場の車寄せで人が車から下車すると、車=自動運転車が場内を自動走行して所定の位置に駐車し、入出庫状況に応じて自動で駐車位置を最適化し、出庫時刻が近づくと自動走行して乗車場所に移動し、人を待つというような仕組みの駐車場です。まだどこにもそのような駐車場はありませんが、すでに色々なシンクタンクや研究所では研究が進んでいます。

筆者は、本年4月に千葉の展示会におけるセミナーに参加し、無人自動バレーパーキングシステムの開発の取り組みがどのように行われているかを知りました(日本自動車研究所ITS研究部部長 谷川浩氏による)。

システム構築のポイントは、クルマ、管制センター、駐車場インフラの3つで、これらの協調制御が大切であり、クルマ依存もインフラ依存も駄目で、クルマ&インフラ協調型で進めるべきだと強調されていました。

クルマはカメラや超音波センサーを装備した自動バレーパーキング専用車両であること、駐車場は自動バレーパーキング専用駐車場であること、そして自動運転車両をコントロールする(リモートパーキング)管制センターが必要になるということです。

では自動バレーパーキングの利点とは何でしょうか。以下列挙します。

  1. 場内事故が激減する
  2. 空間活用の効率化→2割ほど利用できるスペースが拡大するといわれている
  3. うろつき運転がなくなる
  4. 現状では乗降する場所や駐車する場所が同じ場所だが、乗車、降車、駐車エリアを分離することで駐車場運営をより効率化できる
  5. 出場予定時刻などに合わせて駐車場所を変更すことで最適な駐車配置が実現可能である

もし以上のように自動バレーパーキングが実現すれば、駐車場自体の構造も大きく変化していくことになります。一歩先を考えるのであれば普及に先んじて駐車場を拡張対応可能な「構造」に仕込んでいくことも今後必要となっていくかもしれません。さらに自動車が「所有」から「シェアリング」に代わっていくことを考えると、車の数自体が減少するので必然的に駐車場自体の数も大きく減少することになります。

仮にそのような変化が今後10年程度で実現していくのであれば、立体駐車場等の新しい建設計画には慎重に取り組むべきことになるでしょう。今後5年から10年程度の駐車需要動向の把握は極端に難しくなりそうです。

駐車場の未来は、いま私たちが想像している以上に大きな変化に見舞われることでしょう。そういう産業界激変の時代に生きているという自覚が真に求められていると思います。そのような時代を楽しむのか悲観するのかは各人の自由ですが、遅かれ早かれそのような時代が来ることだけは必然です。

たまたまですがこのブログを書いていたら。日経新聞電子版のスクープ記事の着信がありました。そこには「無人配送ロボで公道実験、ヤマトなど参加 法改正視野」という見出しがありました。本文では「政府が無人配送ロボットの実用化に向け、ヤマト運輸や楽天などと共同で、2019年度内にも公道で走らせる実証実験を実施する。・・・来年以降の道路交通法改正も視野に入れて運用ルールの整備を進める。」とあります。最近、社会実験が多く実施されていますが、「社会実験」が「社会実装」になるには多くの超えるべきハードルがあることは間違いありません。変化のスピードは読めませんが大きな変化が次々と起こってくることだけは間違いないでしょう。

技術革新や社会の変化が日進月歩のスピードで進んでいく以上、私たちは勉強をし続けていく必要がありそうです。