今回は、第1回で取り上げました「3.キャッシュレス決済の拡大」について取り上げます。そしてその広がりを考えたいと思います。
単純にキャッシュレス決済といいますが、下記のように分類できると思います。
① クレジットカードによる決済 → クレジットカードを精算機に挿入することによる決済です。現在でもある程度は利用されていますが決済の主流ではありません。クレジットカードも磁気式からIC化、又非接触カード化も進められています。
② ICカードによる決済 → 流通系や交通系のICカードが有名です。関西ではICOCAやPITAPA等が有名です。ICカードに対応する精算機も増えています。
③ QRコードによる決済 → 一般小売業では普及し始めているQRコード決済は、一部を除いて駐車場ではまだほとんどありませんが、これから普及していく可能性はあります。ただ現時点では、あまりにも多くの規格があり、何を選んでよいか迷う状況が悩ましいところです。
④ ETCカードによる決済 → ETCカードによる決済は駐車場に固有の方法です。状況次第では、駐車場ではこれがキャッシュレス決済の主流になる可能性があります。なんといっても簡便だからです。しかしながら普及はこれからといったところです。
これからのキャッシュレス決済で、どれがデファクトスタンダードになるかは予断を許しません。駐車場運営者や経営者の方々にとっては、注意深く状況を見ながら判断していっても後手に回って困るということはないでしょう。今後、我々も情報収集に努め、このホームページやセミナー、リーフレット、社員ブログなどを使って積極的に情報発信していきます。
2)駐車場管理運営とキャッシュレス。
駐車場管理という面においては、キャッシュレス化は非常に大きなインパクトとなります。現金盗難、集金、硬貨・紙幣詰まりなどがなくなるわけですから非常なメリットがあります。銀行でATMが廃止・統合されていくのは必然ということになります。キャッシュレス化はどんどん進んでいくと思いますが、最終的にどの決済方式が主流になるかということがポイントです。
またキャッシュレス決済は、「フルキャッシュレス」を目指さなければ意味がありません。両方に対応するというのは効率管理という意味ではほとんど意味がないので、ある時点からは急速にキャッシュレス化が進んでいくのではないかと思っています。
ただキャッシュレス決済は、当然ながら決済手数料が発生するため利益が削られることになります。そこで、現金を扱わないことで圧縮できるコストと決済手数料を比べてどちらが多いかということになりますが、おそらく圧縮したコストの方が大きいと思われますので十分にメリットが出ると思います。
3)キャッシュレス決済の広がり。
駐車料金におけるキャッシュレス決済は、現金以外の多様な決済手段を提供するという意味にとどまらないと考えています。それは、キャッシュレス化することで他のより大きなプラットフォームとつながる可能性が大きいからです。
このシリーズの第1回目で述べましたが、おそらく駐車場事業はMaaSというより大きな枠組みにビルトインされていくでしょう。おさらいになりますが、MaaSアプリで、希望する移動手段の「検索」、「予約」、「決済」ができるという新しいモビリティの時代がやってきます。その時、キャッシュレス化に対応していない駐車場は検索すらされないということになるでしょう。
またMaaSアプリが思うほど日本社会で普及しなかったとしても、駐車場予約との関連では必然となっていくでしょう。これからは「駐車場予約」も常識となっていくでしょうから、検索、予約、決済が一つのアプリでできる利便性は必ず求められることになるでしょう。その意味でも駐車場のキャッシュレス化は必然です。
現在、駐車場の予約はできるけど、現場に行ってみたら関係のない車が無断駐車していたなんてことは決して珍しくありません。現場に無断駐車できないような簡易なロック装置を設け、それをWEBでつなぎ、事前決済(キャッシュレス決済)した時だけスマホから通信で解除できるような仕組みにしたら効率的な予約システムが完成します。
その意味で、検索も、予約も、決済も、そして現場機器の制御も、すべてWEB上で行う次世代の駐車場管理システム(駐車場利用者はスマホアプリですべてのことが行える)は外国ではすでにリリースされており、日本でももうすぐリリースされていくでしょう。
弊社はこれからも、目まぐるしく変化していく駐車場にしっかりとキャッチアップしていけるよう情報収集と発信に努めてまいります。