◇今回のテーマ 「 まちなかETCサービスの意味するもの 」です。
○1.前回を受けて、「まちなかETCサービス」が意味するものについて
考えます。
ひとつ目は、このサービスが駐車場事業に与える正面からのインパクト
について考えます。
もうひとつは、このサービスが抱える課題について考えます。
要するに、このサービスが普及するという前提に立ったとして、この
サービスが従来の駐車場事業に与えるであろう革命的インパクトについ
て正面から考えたいというのが、ひとつ目です。
でもこのサービスも、現時点ではいくつかの課題を抱えており、その問
題性を考えてみたいというのが、ふたつ目です。
○2.まずひとつ目。
このサービスが順調に展開していったら、これは駐車場事業の色々な
局面に革命的なインパクトを与えることは間違いありません。
その影響を下記の三つの局面から考えます。
(1)駐車場料金機器に関して
(2)駐車場運営実務に関して
(3)利用者の利便性に関して
○3.駐車場料金機器に関して
これはとても分かりやすい問題で、この仕組みが普及すれば現在の駐車
場料金機器の業界・マーケットが消滅の危機に瀕することになります。
当然のことでしょう。
既存のETC機器で駐車場の料金精算が完結するのであれば、現場には簡
易なシステムがあればよいだけになります。
ETCの受信機とそれを収納する通信用BOXとカーゲート、検知器等があれ
ば事足ります。
ただこのサービスの普及にはふたつの問題があります。
ひとつはETC自体の普及率です。現時点の普及率がどれくらいかというこ
とです。
色々と統計を確認すると、自動車保有台数は全国で約8,067万台です。
これは、乗用車(6,050万台:平成27年)や貨物車(1,460万台:同左)、
特殊車両や二輪車まで含む数字です。
またETCの普及台数は、平成27年で全セットアップ件数6,940万台ですが
再セットアップ件数が1,770万台程度あるので、
実働台数は5,200万台程度と考えられます。
そうすると全国平均で、65%程度の普及率ということになりそうです。
そう考えると、まだそんなものなのかという気もしますが、都市部での
普及率はもっと高いので、都市部に限ればサービス拡充に向けて十分な
準備が出来ている状態とも言えるかもしれません。
つまり一切現金での決済は出来ません、ETCだけでしか駐車料金の精算
はできません、という時間貸し駐車場ビジネスは、十分に市場的に成り
立つということになります。
○4.もうひとつはこのサービスが提供された後の普及のスピードです。
まだ開始されていないものですので判断は難しいところです。
私は、都市部で一部の駐車場運営業者がETC専用の駐車場を開始させる
ことにより、われもわれもと同業他社が参入すれば、都市部ではあっと
いう間に普及するのではないかと思っています(ただし、街中の単純な
時間貸し駐車場に限定した想定で、その理由は次回以降に述べます)。
導入コストも現在の料金機器と比較すればはるかに安くてすみますから。
また次回以降で述べるようにETC専用駐車場には、運営上の大きなメリッ
トもあります。
長くなりましたので次回は駐車場運営実務へのインパクトについて考え
ます。
今回もお読みいただき誠にありがとうございました。