◇今回のテーマ 「 駐車場からのまちづくり 2 」です。
△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△
○1.駐車場からのまちづくり、という本の中で「提言(10の原則)」という
一章が最後に付されています。これがなかなか参考になります。この
内容につきましては次回以降でご紹介します。
という形で前回締めくくりましたので以下、そのご紹介をします。
先ず「基本的姿勢」として
①『駐車場は「まちづくり」の重要な要素であると認識しなければな
らない』
いまの駐車場法の大きな目的は「道路交通の円滑化」とされるが
それに歩行者の安全・安心の確保、土地の有効利用といった観点
を加えて、より包括的なまちづくりを見据えた法律にすべきであ
る、としています。
②『駐車場は地区交通計画と一体となって「整備・管理・運用」しな
ければならない』
現状の駐車場法では中心市街地の道路混雑を緩和するためにしか
駐車場は作れない。駐車場からまちづくりをする建てつけになっ
ていない、としています。
○2.次に「駐車場の密度・配置・デザイン」について
③『付置義務の考え方を、ON Site から In Area に変えよう』
地区交通計画との一体化を図るためにも、付置義務の考え方を共
同駐車場の整備が促進されるように敷地内での付置から地域内の
付置に変えよう、と主張しています。
④『付置義務の量的要求水準は柔軟に設定しよう』
どれくらいの付置義務駐車場が必要かについては一律に規制する
のではなく公共交通の利便性や現状の駐車需要供給バランスなど
を反映して、地区特性に応じた柔軟な設定を行なうことが重要で
ある、としています。
⑤『付置義務で「上限値」導入できるようにしよう』
現状の駐車場法では、下限値しか決められていないが、これ以上
は作らないという方針の地域があれば敷地内設置の上限も設定で
きるようにすべきである、としています。
⑥『駐車場の立地コントロールを積極的に行おう』
地区交通計画と一体となった運用を図るためには、駐車場をどこ
につくるのかということを指定できるようにしなくてはならない。
その為にはまず出入口をコントロールすることが重要になる。
「路外駐車場の出入口規制対象」に「自治体が指定する道路」を
追加するなどの措置が求められる、としています。
⑦『環境に配慮した駐車場デザインを要求しよう』
駐車場法の技術基準には平面駐車場の1台あたりの最低面積の設
定、あるいは緑化率といった要素が設定されていない。今後の駐
車場は、環境に配慮したデザインを目指すべきであり、そうした
デザインの指針を持ち、駐車施設そのものに質の高いデザインを
要求することが重要である、としています。
⑧『すべての駐車場を対象に技術基準を適用しよう』
非常に小規模の駐車場については、現在ほとんど自由につくれる
状況にあるため、コインパークが増殖してしまっている。500㎡
以上のものには技術基準があるが、それ以下のものにはまったく
基準が無いことが無秩序に点在する駐車場ができる1つの要因と
なっている。
今後はすべての駐車場を法技術基準の対象にすべきである、とし
ています。
法に関する記述は、多少正確性にかける文章ですが、言わんとし
ていることは核心をついているような気がします。
駐車場業者の我々からしても、無秩序な都市の駐車場設置事情は
好ましいものではありません。
○3.最後に「移動制約者向け駐車場のあり方」について
⑨『移動制約者の定義を明確にしよう』
警察庁が運用している高齢運転者等専用駐車区間制度に該当する
者、すなわち「70歳以上の高齢者、障害者、妊婦」の考え方の適
用を広げるなどして、まず「移動制約者」の定義をはっきりさせ
ることからはじめよう、と主張しています
。
この主張は、次の⑩の主張につなっていきます。
⑩『移動制約者用駐車施設の設置を拡大させよう』
これからの高齢化社会を考えると、移動制約者用の駐車場は実態
に即して「必要かつ適切な場所」に「必要な台数」を設置するこ
とが重要である。
社会の変化の対応した駐車場のあり方を考えていこうとするもの
だと思います。
長々の引用となりましたが業界にいる我々にとって色々と考えさ
せられる提言です。
今回もお読み頂きまして誠に有難うございました。