○1. 政府は11月20日発表の月例経済報告で「日本経済は物価が持続的に下落する『緩やかなデフレ状況にある』と正式に表明した。
(日本経済新聞11月21日)
またデフレか、とため息が出ますね。
少し前にデフレ脱却といわれたのに、またぞろデフレ表明。
新聞やニュースでもこのトピックスを取り上げて色々と解説をしていますが、この道はいつか来た道で、何も目新しいことはありません。
エコノミストはデフレのときこそ財政出動だといっていますが、本当でしょうか。
そういう部分もあるでしょうが財政出動でどうにかなるわけではないと思います。
それはあくまでも一時しのぎであって本質的な対策ではないと思います。
○2. 本質的なことでいえば
第二次世界大戦後培った日本の産業構造そのものが土台から崩れ去ったことに原因があるのですからそこに目をやる必要があるでしょう。
第二次世界大戦後、日本は冷戦構造の中で輸出依存型の経済成長を遂げてきました。
しかし冷戦の終結、イデオロギー対立の消滅、経済のグローバル化、中国・インド・ブラジル・ロシアの大国化などで世界経済の構造が根本的に変わってしまったということに日本人がどれだけ身にしみて分かっているのでしょう。
また真面目に頑張れば昔のように世界の有数の経済大国になれるのでしょうか。
私はそうは思いません。
世界経済のルールが変ってしまったのではないでしょうか。
だから今までの延長線上で何かをやってみてもその効果は大変限られたものとなります。
○3. 我々日本人は、他人が作ったルールの下で、またひとのお手本に倣って何かを精一杯やることには慣れています。
しかし世界経済のルールが変りつつある現在、自分たちが新しいルール形成に係わったりすることに消極的ではどうにもなりません。
今、日本は、徳川幕府が疲弊し混沌とした幕末、そして新しい胎動が始まった明治維新と同じような状況にあるのではないでしょうか。
戦後の高度経済成長という夢(江戸時代)を忘れてもう一度ゼロから出直す(明治維新)くらいの気概がなければ世界経済の主要プレーヤーでいることはできないでしょう。
民主党も政権をとったのは良いけれど迷走気味であることは否めません。
一国の経済は、それを支える多くの人々の膨大な経済活動の集積です。
だとすれば、日本経済が再生するかどうかは政治家、官僚、企業経営者だけでなくこの国の経済活動にかかわるすべての人の気概に係わる問題です。
私たちもまた駐車場というマーケットの中で、或いはその周縁部で新しいルールの形成に努めなければなりません。
大きな事でなくても良いのではないでしょうか。
昨日とは違う発想で、新しいルールを作りあげ、そこでプレーする。
膨大な量の試行錯誤と産みの苦しみが伴うことは間違いありませんがそれはきっと私たちに大きな恵みをもたらすでしょう。
経済時評みたいになってしまいました。御容赦ください。
今回もお読みいただき誠にありがとうございました。
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○【次号予告】 次回12月号は、「逆境に生きる 9」です。