○1. 今回は「仕事における発見の意味」を考えてみたいと思います。
日々仕事をする上で「発見」はあるでしょうか。
ともすると「なりゆき」や惰性で仕事をしていないでしょうか。
昨日の仕事と今日の仕事は同じでは無いでしょうか。そして明日の仕事も同じではないでしょうか。
「発見」と簡単に言いますが、実はそんなに簡単なことではありません。
発見をするには、先ず身の回りに『アンテナ』を張ることが必要です。
アンテナとはつまり「問題意識」です。
いつも自分の仕事に対し、
「あの課題は、どうしたら解決できるだろうか」
「自分の抱えているプロジェクトを解決する良いツールは無いだろうか」
「どうしたら会社の人間関係をうまくコントロールできるだろうか」
・・・・・
世の中には、色々な次元で色々な課題が意識されています。
それがつまり「問題意識」であり、問題意識がなければ「問題」自体が存在しないことになります。
従って問題意識の無い人には、問題も無いかわりに、進歩もありません。
十年一日のごとく同じことを繰り返していくだけの職業人生です。
○2. また問題意識とは、見方を変えれば「好奇心」ともいえます。
好奇心は別の意味で『アンテナ』です。
自分の仕事の分野だけでなく、幅広い分野に薄く広く好奇心を持っておくことは、必ず仕事を遂行する上で役に立つものであり、また人間性の幅を広げるという意味でも大いに資するものであります。
人は年齢を重ねるほど保守的になりがちで、情報源もおのずと限られてくるものです。
図書館などを利用しながら、いつも読まない本や雑誌を意識して読んで
みるとアンテナが刺激されることでしょう。
○3. 問題意識や好奇心があれば
日々の仕事や生活の中に、必ず何がしかの「発見」があります。
そして発見をただの発見に終わらせずに、その発見から「仮説」を作ることが大切です。
例えば仕事で何か発見をしたら、それに基づいて自分の仕事や生活に役立つ「仮説」を立ててみるのです。
よく聞く話ですが、例えば・・・
商社マンであるあなたが、アフリカのある国の都市に単身赴任したとしましょう。
町をブラブラしていたら、あなたは人々が皆、裸足で歩いているのに気がつきました。
町の人々や知らない土地に関心が無ければ、裸足であることに気がついてそれだけでおしまいです。
しかしこの灼熱の土地でなぜ裸足なんだろう、という好奇心から、例えば怪我しないんだろうか、この国には靴はまったく無いんだろうか、靴に似たようなものは無いのだろうか、過去に靴が売られた経緯は無いのだろうか・・・色々なことを考えてみる事が大切です。
そこでざっくり「靴を輸入し、売れば儲かるのではないか」という「作業仮説」を立てます。
しかしこの仮説に基づき短兵急に、何も考えないで大量の靴を輸入するのも考えものです。
勿論、この国には靴を履く習慣が無いので靴は売れない、と断定するのも早急でしょう。
その前にこの作業仮説が正しいかどうか、聞き取りしたり調査したりして売れると言う確信がある程度持てるようなら次の段階で輸入に踏み切ればいいのです。
大切なことは問題意識や好奇心であり、
これが正常に働いていれば「問題」は「発見」できます。
その上でこの発見に基づき、いろいろな観点から考えてみて「作業仮説」をつくり、さらにいろいろな検証をしながら精度の高い「仮説」を作り上げていけばいいわけです。
発見をし、先ず簡単な作業仮設を作る、ここまで出来ればあとのプロセスはそう難しいことではありません。
このようなプロセスを意識して日頃の仕事と向き合っていけば、この閉塞感の強い今の状況でも「顧客の創造」(ドラッカー)は可能なのではないでしょうか。
まさに自分に言い聞かせるつもりで書いてみました。
このような時代、限られたパイを奪い合うだけの仕事の仕方から一歩も二歩も脱却したいものだとつくづく思います。
今回もお読みいただき誠にありがとうございました。
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○【次号予告】 次回4月号は、「逆境に生きる 10」です。