○1.前回の終わりに今回からは駐車場業界のトピックスを取り上げていきま
ますとお伝えしました。
ということで今回は「駐車場と環境」をテーマとして取り上げてみます。
今、駐車場で「環境」といえば下記のような個別のテーマが考えられると思います。
① 駐車場と緑化
② 駐車場における省エネルギー活動
③ カーシェアリング
今回は、「駐車場と緑化」について考えます。
駐車場と緑化というテーマを更にいくつかに分けて考えます。
ひとつは建物としての駐車場の緑化で、主として屋上緑化、壁面緑化、或いは待合室などの屋内緑化です。
もうひとつは駐車場の車室自体の緑化です。
ともに最近は色々な所で取り上げられるようになってきており、実験段階を終えて、そろそろ実用化の段階に入りつつあると思います。
○2.建物としての緑化について。
ヒートアイランド現象の対応策として、最近特に屋上緑化が取り上げられています。
都市圏では従来からヒートアイランド現象が取りざたされていますが、それに加えてこの酷暑です。
少しずつでも手を打てる所から打っていかないとヒートアイランド現象はますます亢進していくことでしょう。
一般の建物でも屋上緑化はポピュラーになりつつありますが、そのポイントはコストの低減、軽量化、メンテナンス性だろうと思います。
駐車場の屋上においても、基本的な事情は同じだろうと思います。
最近は普及に伴ないコストも下がりつつあるようですし、軽量化も新製品の
登場で従来品と比べて半分以下というものまで出現しているようです。
土を使わないユニットで他者との差別化をしているメーカーもあります。
一番の問題はメンテナンス性だろうと思います。
出来るだけ費用をかけずに、「緑」を維持することはまだまだ難しいといわざるを得ないでしょう。
屋上緑化に適した品種の選定や改良がまだまだ必要でしょうし、潅水の設備の進化なども求められるでしょう。
駐車場棟の場合で、屋上が屋根の場合は一般の建物と同じですが、屋上が車室になっている多くの駐車場では特別の考慮が必要となります。
この際の問題点は、次に述べます車室自体の緑化の問題と同じです。
○3.車室自体の緑化について。
一部の時間貸し駐車場において、車室(車を駐車する場所)を緑化している例が見受けられます。
しかしながら私が見る限り、緑化したという事実に満足しているか、或いは外部にアピールしたいだけで本当に緑化=地球温暖化を目指しているのかははなはだ疑問です。
なぜそういうのか。
緑化したはいいが、全然メンテナンスをしていない(実験駐車場は別)ところがほとんどんどだからです。
緑色のプラスチックの基材がむき出しになって、無残な姿をさらしているからです。
こんな状態で、よく「地球温暖化対策駐車場」(現にそのような掲示をしています)などといえるものだと感心します。
車室自体の緑化のポイントは以下です。
① 車室全体をベタで緑化するのではなく、タイヤが通る部分は除外するなど特別な対策が必要である(また車が通らない部分は積極的に緑化する)。
② 芝の品種を改良し、できるだけ耐久性のあるものを選定すること(そのことがメンテナンス性を向上させることに繋がる)。
③ 上記②と併行しつつ芝の維持管理費はしっかり定常コスト化することが必要。
以上
これからの駐車場緑化について考えるべきことの基本的な事柄についてまとめてみました。
今回もお読みいただき誠にありがとうございました。
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○【次号予告】 次回10月号は、「駐車場と環境 2」です。