○1.さて今回からは「駐車場の新しい動向について」です。
一口に駐車場の新しい動向といっても、大きく技術的な動向と、管理運営面での動向に分けられます。
今回は、管理運営面での動向についてお話しいたします。
最近まちなかでフラップレスのコインパークをご覧になったことはございませんか。
ここ2年くらいでちょこちょこと見かけるようになりました。
要は、フラップ板をなくしてスムーズに駐車できるようにした駐車場です。カメラを設置して監視していますというメッセージを出しつつ車室管理をしているわけです。
大方の予想に反して、お金を払わないで出庫する率は数%にも満たないと聞きます。
もちろんどのような場所にこのようなシステムを導入するかについては事前に十分検討しているはずですから、どこでもそのような結果になるということはありえません。
しかし逆に言えば場所の選定を間違えなければ、フラップレスの駐車場には可能性があるということになります。
○2.おそらくフラップレスの駐車場は、利用者を信頼してこのようなシステムにしたというわけではないと思います。
むしろ最初の動機はコストの圧縮であったと思われます。
フラップ板もいらず、工事も簡素化できるのでコスト面のメリットではかなりのものがあるわけですから。
ただ最初の動機がどうであれフラップレスの意義は別のところにあると思います。
それは単純に利用者の利便性の向上ということです。
コインパークは狭い敷地でできるだけ多くの車室を設けるため、車室を詰め込みます。しかも横抜けなどできないようにバリカーなどを設置して、とても駐車しにくいのが現状です。
それはゲートバー式の駐車場と比較すれば一目瞭然です。
効率を上げるため詰め込みたくなるのは分かりますが、結局の所、そのために利用を敬遠されている人も少なくないと思います。
たとえ1台分の車室が減っても、「とめやすい」ということには大きな価値があると考えるべきです。
○3.このように考えてくるとフラップレス駐車場の将来性は侮れないような気がします。
駐車場の運営者或いは経営者は今まで利用者の利便性ということを本当に真剣に考えてきたでしょうか。
それは駐車場の使い勝手に端的に表れています。
一度でも駐車すればそのことはすぐにわかります。
職業柄、相当多くの時間貸し駐車場等を見てきましたが、本当に利用者のことを考えた安全、快適、安心を十分に配慮した駐車場というのは、稀と言っても過言ではありません。
おそらく多くの人が駐車場を装置産業と考え、場所貸しがその本質だと理解している限り、変わることはないでしょう。
私たちは、駐車場運営(経営)に、接客サービス業という視点を強く導入する必要があると思っています。
ハードの提供だけなら他の駐車場との差異を見出すことは難しいと思われますが、
接客サービス業ととらえると、そこには大きな差異を作り出し、他に抜きん出る可能性を秘めています。
そしてそれは実践を通して実現していくことであることは言うま
でもありません。
私たちにとっては、大阪医科大学患者様駐車場の「おもてなし駐車場」というコンセプトによる管理運営がその実践です。
私たちは現状に甘んじることなく駐車場運営の新しい地平を切り開いていくことが必要ではないでしょうか。
今回も最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
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○【次号予告】 次回 4月号のテーマは、
「 駐車場の新しい動向 2 」です。