○1.駐車場の利用者にしっかりと視線を据え、さらに駐車場と周辺の地域コミュニティとの関連性の中に新しいビジョンを見出すことそれがいま我々に求められていると思います。
と、前回のメルマガの最後で書きました。
しかし、こんな大きな課題に真正面から応えることは簡単なことではありません。
そこで、問題をいくつかに分節して考えていくのが良いのではないかと思います。
①駐車場を他業種と連携させることで新展開を考える。
②利用者本位を徹底した駐車場を作る。
③駐車場を地域コミュニティの中に位置づけてみる。
○2.では①について。
駐車場と他業種を連携させることで新展開を考える、という視点について。
先日新聞で、駐車場の屋上で家庭菜園を事業展開しているという企業の紹介記事を見ました。
確かに取ってつけたような連携ではありますが、都会では十分あり得る事業だとは思いました。
土地所有者にとって、土地の有効活用という切り口では統一性があります。コイン洗車場と駐車場のコラボや、レンタル倉庫と駐車場のそれも同一線上の発想でしょう。
昨日の日経新聞に、あるコンビニチェーンが無人自動販売機店舗を全国展開するという記事が載っていました。
法人車両が良く使う駐車場では、昼時に車の中でコンビニ弁当などを食べ、昼寝をし、仕事をするという外回りの営業マンも少なくありませんから、駐車場と食品無人販売機とのコラボも面白いかもしれません。
ただどれも面白いアイデアや思い付きの域を超えるものではなく、あまり駐車場の未来につながるものとは思えません。
駐車場事業とのコラボが、駐車場事業の従来のあり方にインパクトを与え、その姿が変わっていくようなものが駐車場の未来を拓くのではないでしょうか。
○3.次に②について。
利用者本位を徹底した駐車場を作る、という視点について。
当たり前のことですが、こんな当たり前のことが本当に徹底されているのかについては、実は内心忸怩たるものがあります。
駐車場機器メーカーもまだまだ作り手の論理が罷り通っていますし駐車場運営会社でも自分たちの運営上の論理が優先されています。
利用者本位の駐車場とは何なのか。
改めて基本に立ち返って考えてみます。要約すれば次のようなことでしょうか。
(1)使いやすい駐車場
(2)清潔で安全な駐車場
(3)納得できる料金体系
使いやすい駐車場とは、
駐車場の構造が分かりやすく、自分がどこに停めて、どこから出ていったら良いのかが分かりやすい駐車場です。
まるで迷路のような駐車場。しかも停めた場所が分からず場内で迷子になってしまう、そんな駐車場は決して珍しくありません。
これは動線の整理、車室の配置、サインや案内灯の数量・配置・デザインなどが密接に関連しています。
お金を掛ければよいという訳ではありませんが、施設内部にかけている金額に比べて、駐車場に割く金額があまりにも少ないのではないかといつも感じています。
駐車場は、車でおいでになる方にとってはその施設の正面玄関です。
建築設計の方々の認識も低すぎるのではないかと思います。
駐車場も他の分野と同じく専門性が要求される分野なのですが、それが理解できていないのだろうと思います。
その意味で、壁は高く、しかも厚いのかもしれません。
とここまで書いてきて相当に長くなってしましました。
続きは次回ということにします。
今回もお読みいただき誠にありがとうございました。
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○【次号予告】 次回 10月号のテーマは「 駐車場の未来 3 」です。