○1.今回も少し遅れての発行となりました。申し訳ございません。
さて今回は前回とも少し重なる所があるかもしれませんがご容赦下さい。
なぜ今回プロフェッショナルとは何か、というようなお題にしたかというとそれなりの伏線があったからです。
私は今年初めから、あるお客様の駐車場に対してコンサルティングサービスを提供しており、その中でプロフェッショナルとは何か、
ということを真剣に考えざるを得ない場面にたびたび出くわしたからです。
その駐車場は、オーナー会社から、ある駐車場管理会社が委託を受けて運営しています。
私はその駐車場のオーナー筋より運営管理全般の改善を依頼されてコンサルティングサービスを提供しています。
当然ながら相手は同業者です。
お互いに手の内を知り尽くしているわけですから、やり易くはありません。
ところがそのやりにくさは私が想像したものとはかなり異なるものでした。
例えば
過去数年間にわたり営業成績が低迷しているので、より効果的な営業戦略はどうあるべきかという議論をするために先ずその運営会社の担当者に意見を求めました。
すると、彼は周りの価格が下がっているので値段を下げましょうといきなり提案したのです。
私は正直、驚愕しました。
私は、そんなことなら素人でも言える。
しかも他に手がない場合の最終手段だ、と言いました。
〇2.自分の会社の会議なら
バカも休み休み言え、と言っていたことでしょう。
値段を下げること自体を否定するわけではありません。
でも何よりも議論というものが分かっていない。
値段や価格を変えるということがどれほど重要なことかということもわかっていない。
しかもしれっと他人事のように言いました。
私は怒りを抑えつつ、いや怒りは表に出ていましたが、事の理非を分かるように説明しました。
つまり
値段を下げるという最終手段を執る前に、やるべきことはたくさんある。真っ先にすべきは自社の運営面で問題はないかという内部検
証である。
その後、次の手順を踏む。
(1)周辺駐車場の状況を的確かつ仔細に把握する。
(2)その上で周辺駐車場の戦略を想定する。本当に競合相手なのか、
つまりお客様を取り合う関係にあるのか、ということである。
(3)利用者の行動決定要因において最大の要因が価格なのかどうかを検討する。
(4) 他の要因が重要と考えればそれに訴える戦略を立案し実行する。
それらを出し尽くし実行した後、効果がないと判断して初めて値下げということを検討するのが王道である。
(5)仮に価格を下げた場合の売上変動の予測はどの程度のものなのか試算する。
以上のプロセスを辿って初めて値下げの内容を議論し、決定すべきなのです。
勿論このプロセスは長い時間を掛けてやればいいというものではありません。
日頃のデータ収集がシッカリおこなわれていれば2~3時間以内に結論が出るものです。
〇3.かつて稲盛和夫氏は、値決めは経営であるという趣旨のことをおっしゃいました。
値決めをすることは商売の要であるという意味です。
私は、先述の運営会社の担当者にそのことを問いました。
プロフェッショナルとしてどう考えるのかと、しかし無言でした。
おそらく値下げをするということを、覚悟をもって身を切るような思いで提案した訳ではないことは確かです。
まだそれほど経験もない比較的若いスタッフでしたから同情の余地はあるのかもしれませんが
私は、彼にプロフェッショナルとしての誇りを感じることはありませんでした。
議論の仕方を知らない。
特にロジックというものが分かっていない。
商売は勘だと思っている。
当事者意識が薄い。
値決めの大切さが分かっていない。
物事には深さがあるということが分かっていない。
突き詰めて対策を考えていない。
・・・・・
久々の他流試合だと気合を入れて営業改善の議論をしようと思った
のですが・・・
自分の仕事がプロフェッショナルの域に達しているかどうか、常に自問自答すべきというのが私の基本的な考え方です。
私は自分が完全だとは全然思っていませんが
少なくとも
プロフェッショナルとして恥ずかしくない知識と情熱と当事者意識は持っていると思っています。
それでも時折ミスをすることもありますが・・・
勿論、以上述べてきたことは人を批判することが目的ではなく、常にそうあり続けたいという私の、そして当社の思いです。
他山の石、以て玉を攻むべし、というところでしょうか。
今回もお読みいただきありがとうございました。
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○【次号予告】 次回 5月号のテーマは未定です。