○1.前回、次のような観点から駐車場の付加価値を考えたいと述べました。
(1)地域の中の駐車場という観点
(2)複合施設化
(3)公共交通機関との連携
(4)顧客データの収集と活用
先ず「地域の中の駐車場という観点」について、です。
この話は過去何度も繰り返していますが今回は少し異なります。
時間貸し駐車場は多くの場合、市街地にあり、商店や飲食店などいろいろな商業施設に囲まれています。
地域の活性化という観点から、駐車場に何ができるか、という発想です。
古い商店街などでは駐車場が十分に整備されていないところも多くあります。また整備されていても台数が少なく十分に機能していないところも少なくありません。
そこでお決まりの「提携駐車場」という考え方が出てきます。
それぞれのお店で一定金額以上の買い物をすれば、規定の駐車料金割引が受けられるというあれです。
このシステムの最大の欠点は、双方で事務処理が発生する点にあります。
つまり駐車場側では割引利用者の集計事務とお店に対する割引額の請求事務が発生します。
お店の方でも、何らかの割引作業が発生し、かつ駐車料金の支払いが発生します。
そこで
この事務をなくして簡便化し、自分の店の駐車場のように時間貸し駐車場を使ってもらう、という仕組みはできないかということになります。
〇2.お店にとっては、自社で駐車場を用意する必要がなく、提携駐車場に駐車して自分のお店を使ってもらった場合だけ割引をすればよい訳ですから無駄がありません。
お店は、提携した駐車場の駐車券が提示されれば割引を行うことになります(1枚の駐車券での複数回利用を防止するため駐車券にスタンプを押すことになるでしょう)。
今まで駐車場が無いから来なかったお客さんも割引があるなら使おうということで使ってくれたら、新規顧客の獲得ということになります。
駐車場側も事務処理は発生せず、最初に看板などを用意すればよいだけですから負荷も高くありません(看板費用の双方分担も可能でしょう)。
看板には提携店舗ごとに駐車券を持参すれば受けられるサービスを明示します。
実現可能性はいかがでしょうか。
どこかで実施してみたいと考えています。
駐車場にとっては、そのお店の集客力に便乗して売り上げを伸ばすことができるということになります。
他にも、実現性は別論としても箱ものとしての駐車場の活用という観点から他業種とのコラボレーションも検討する価値はあると思います。
地域における駐車場需要の減退から恒常的に上層階が空いている立体駐車場の運営者にとっては、もっと積極的に考えるべき問題であるように思います。
そういえば最近、屋上菜園などが注目を浴びています。
〇3.次に「複合施設化」について考えます。
私が「複合施設化」と呼んでいるのは、単機能としての駐車場としての役割から脱却して、複合機能を持たせるということです。
一番単純なものが、駐輪場や駐バイク場を兼ねた駐車場の構想です。
さらにはレンタサイクルやサイクルシェアリング拠点を備えた駐車場の構想です。
もう少し突っ込むと、ある種の「交通ターミナル」という位置づけもあり得るでしょう。
都市における交通結節点としての駐車場・・・・。
可能性が広がるような気がしますがいかがでしょうか。
次に「公共交通機関との連携」です。
すぐに思い浮かぶのが「パークアンドライド」です。
もう説明する必要もないくらいです。
それ以外の可能性を考えてみると、上記の複合施設化とかぶるのですが、駅前駐車場ならビジネスレンタサイクル、あるいはビジネスレンタバイクという考え方もあるのではないでしょうか。
訪問先が駅から遠いという理由で自動車に乗っていくという人も多いと思いますが、駅前にそのような施設があるなら電車など公共交通機関で行くという人も少なくないのではないでしょうか。
もちろんこれらは単なる仮説ですが、色々と考えてみることが大切ではないでしょうか。
ちょっと長くなりましたので「顧客データの収集と活用」については次回テーマとします。
今回もお読みいただきありがとうございました。
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○【次号予告】 次回 7月号は「どうやって売上を上げるか③」です。