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メールマガジン

Vol.82 窮すれば変じ、変ずれば即ち通ず

○1.ひょっとしたら随分前にこの表題の格言を引用したかもしれません。
出典も忘れてしまいましたが、折に触れ思い出す言葉です。

先日、或る会社の社長が本を著わされ出版記念講演会を開かれたのでお付き合いで参加してきました。

快活でとても感じの良い30歳台半ばの社長です。
話は、さほど上手いという感じでもなかったのですが勢いのある感じはしました。

話の中では営業において人に好かれるコツを縷々話されていたのですが、実はあまりピンと来ませんでした。
一種の成功物語を話しておられるのですが、最後まで何となく違和感がつきまといました。

何か安直というか、会って20秒で人の心がつかめるとか、その人の欲しいものを聞いたり調べたりしてプレゼントしたら親しくなれるとか・・・そんな感じが何とも。

違和感を感じたのは私だけなのか、そうでないのかは分かりません。

ただ
人生や仕事や心は、そんな簡単なものではないだろうとどうしても思ってしまいます。

もちろんその社長の真意はそこにあったのではないかも知れません。
しかしその場の話の内容からはそうとしか理解できない内容でした。

年のせいでもないでしょうが、割と早い年齢で成功した、特にお金
を手にした人はどうも自分の成功例が普遍的なものだと勘違いしや
すい傾向があるようです。

〇2.翻って私などはずっと辛酸をなめ続けてきたせいか、もう少し物事
複雑に眺める癖が付いています。

もちろん何でもかんでも複雑に眺めているわけではありませんが、多くの物事には「深さ」と「広がり」があると思っていますので余りに簡単に割り切った物言いをされると、うーん?と思ってしまいます。

極めつけは、その社長のとても親しい知人の方が自己紹介を兼ねてその社長との関係を話しておられた時。

その方は「私が○○さん(社長のこと)とお付き合いしてから、付き合っている人のレベルがグンと上がりました・・」「年収が何百万のレベルから年収1千万から3千万位いやそれ以上の方々とお付き
あいできるようになりました」と。

私はそのとき「あれ?」と思いました。
この方は何が言いたいのだろうか。
別にマルチ商法の会合でもなく、お金持ちになる会でもないのにその人はなぜそのようなことを得々と話されたのか、よく分かりません。

でもきっとその人の価値観が如実に出ているのでしょう。
この方がその社長のとても親しい人だということはそういう価値観を共有する人達なんだろうと思います。

〇3.私は人生においてお金が大切じゃないと言い切るほど偽善者ではありませんが、少なくともお金よりも大切なものがあり、むしろお金以外のものこそ人生を躍動させ、輝かせるものだと思っています。

そして、それ(お金以外もの)は人それぞれだろうと思います。

なにか極意のようなものがあって、それをマスターすれば簡単にお金儲けができ、成功して幸せな人生が送れるなどという発想は、あまりにも底が浅すぎて、若年者には説得的かもしれませんが、私のような年配者には違和感があります。

仕事でも同じだと思うのですが自分が信じたことをやり、失敗して挫折し、窮することで打開の道を探って自己を変革していく、そうすることを繰り返すことで、新
たな展開が徐々に見えてくる。

つまり窮すれば変じ、変ずれば即ち通ず、です。

仕事に、あまり高邁な理念は必要だとは思いませんが、
このような「姿勢」はとても大切だと思います。

なぜなら、仕事や人生にはただ一つの「正解」というものはなく、また簡単に欲しいものを手に入れることもできないのが実情だからです。

私たちは、
安直に正解に辿り着こうとするのではなく、頭を打ちながら、
又試行錯誤をしながら色々な努力を重ね、絶えざる自己変革をし続ける中で、はじめて目的地に辿り着くことができるのです。

そして又そのときの喜びは味わい深く、大きなものなのです。

他人を批判しているようにも読めるかもしれませんが、あくまで話のネタとして取り上げたまでで、そこに真意はありません。
むしろ自戒をこめて記しました。

相当に教訓めいてしまいましたが何卒ご容赦下さい。

今回もお読みいただき誠にありがとうございました。

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○【次号予告】 次回3月号のテーマは未定です。