○1.前回、「駐輪事業について考える 3」をテーマとするとしていましたが2回分で書くべきことは書いてしまいましたので、変更します。
今回は、ビジネスモデルについて考えます。
先日「異業種に学ぶビジネスモデル」(山田英夫著)を読みました。この本は「なぜ、あの会社は儲かるのか?ビジネスモデル編」を改題し、内容をアップデートしたものです。
この本の冒頭で、著者はビジネスモデルの作り方に関して3つの方法があるとしています。
ひとつ目は、世の中に無いものをゼロから創造するというもの。
ふたつ目は他のビジネスモデルを真似るというもの。
この中には同業他社のベンチマーキングによるものと、異業種にヒントを得て作り上げるもの、とがあるとしています。
ひとつ目は相当に困難であり、同業他社のベンチマーキングは結局のところコスト競争に陥ってしまうとしています。
そして異業種のビジネスモデルに学ぶのが良いとし、具体的事例によっってどのように学べばよいのかを分かりやすく説明しています。
なぜこのような本の事を書こうとしたかといいますと、業界紙に「オーガニックパーキング」という新しいサービスが紹介されていたからです。
○2.このサービスは端的に言えば、空き駐車場検索・予約及び駐車場へのナナビゲーションを提供するものです。
このビジネスモデルが日本で合法的に成立するかは別論として、概要を記すと下記のようにまとめることが出来ます。
自分が停めている駐車場から出庫する場合、そこへ次に停めたい人に駐車する権利を販売価格を提示してオークション形式で売るというものです。
それをスマホ上の専用アプリを使って行なうものです。システムの開発者は、ハーバード大学のコスタス・テルジディス準教授です。
これは「B to C」ビジネスではなく、
ユーザーが発信して別のユーザーを募る「C to C」ビジネスです。
以前取り上げた「軒先パーキング」も同じですが駐車場業界の外から全く新しい観点でビジネスモデルを構築していることに感心します。
〇3.業界の中ではなかなかこのような発想は生まれてこないでしょう。
先ほども述べましたがこのようなビジネスモデルが日本で成立しうるかどうかはまだまだ不透明ですが、ここには多くのヒントがあると感じます。
業界人が業界的発想で何かに取り組んでも、独創的なものはなかなか生まれません。
また何ものかを生み出してもすぐ同業他社に追随されるでしょう。
私たちは業界の外に出て、
全く関係のない業界のビジネスモデルに真摯に学び、自社のビジネスモデル構築のヒントとなるものを探すことが、今、切に求められているのかもしれません。
書を捨てよ、町へ出よう、の顰に倣えば
業界から抜け出し、町へ出よう。そして異業種に学べ、ということにでもなるでしょうか。
今回もお読みいただき誠にありがとうございました。
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○【次号予告】 次回 5月号のテーマは、「駐輪事業について考える 3 」です。