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ここではまずキャッシュレス決済とは何かについて、基本的な整理をします。
文字通り、現金決済に対して、現金を使わない決済のことを意味するのですが、その態様は多種多様です。古くからの取引慣習である手形や小切手、あるいは「請求書払い」も考え方に依ってはキャッシュレス決済ですが、なじみのあるところでは「クレジットカード」がその典型です。〔ひとくちメモ〕
2009年に「電子記録債権法」が施行され、電子手形(電手)なども使われるようになりました。この分野でもデジタル化が進んでいます。 -
日本国内の個人消費(民間最終消費支出)に占めるキャッシュレス決済の比率(2022年)について経済産業省が算出し、公表しました。
それによりますと、2022年のキャッシュレス決済比率は36%となり、決済額は初めて100兆円を超えました。民間最終消費支出における決済比率クレジットカード 30.4% 電子マネー 2.0% QRコード 2.6% デビットカード 1.0%
おそらく2023年以降も増加し続けるでしょう。
そして2025年にキャッシュレス決済比率を4割にするという政府目標も達成される可能性が高くなってきたといえるでしょう。
主要先進国ではすでに40%~60%の決済割合といわれています。韓国では90%以上です。
ちなみにクレジットカードの不正利用は年々増加し、2022年の被害額は前年比3割増の約437億円といわれています。
便利な世の中になってきましたが、くれぐれも不正利用されないように注意しましょう。
- クレジットカード→日本のキャッシュレス決済の大半を占めます。ICカード(非接触式)も増えてきています。
- デビットカード→銀行口座と紐づけられたカードです。決済すると即座に口座から引き落とされます。
- 電子マネー→交通系(Suica、PASMO、ICOCA)と流通系(nanako)に2分類。プリペイドが一般的ですが、クレジットカードと連携することもできます。非接触式(タッチ式)でデータを読み取ります。
- モバイルウォレット(スマホ決済)→スマートフォンにクレジットカードや電子マネー、銀行口座などを登録して支払います。スマートフォンに専用アプリをダウンロードして利用します。QRコード決済(PayPay)、「おサイフケータイ」(NFC:近距離無線通信)
QRコード決済には、お店がQRコードを提示する「店舗提示型」と、利用者がQRコードを提示する「利用者提示型」があります。またQRコードは決済のたびに異なるものが提示されるのが普通です(動的)。
- プリペイド(前払い)→プリペイドカード、電子マネー(ポストペイやリアルタイムペイも)、Suica
- リアルタイムペイ(即時支払い)→デビットカード
- ポストペイ(後払い)→クレジットカード、PITAPA
(QRコード払いでは、事業者によりプリペイド、リアルタイムペイ、ポストペイがそれぞれ用意されています→後述5.④)
- 精算機を介する方式とは、精算機に非接触及び接触ICリーダーを搭載して、ICクレジットカード、交通系及び流通系電子マネー、QRコード等による決済に対応するものです。各地の駐車場で、徐々に採用され始めています。
- 精算機を介さない方式とは、WEBの専用サイトにアクセスして決済等を行うものと、専用アプリをダウンロードした上で決済を行うものがあります。日本での普及はこれからになります。
メリット |
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デメリット |
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- 土地の有効活用として駐車場をはじめようとお考えの方は、従来であれば精算機など高額な設備機器を自ら購入して運営するか、駐車場運営会社に業務を委託し、その会社が機器を持ち込んで事業を始めることになります。
- 自ら機器購入する場合は、初期投資の回収に時間がかかるうえ収益予測も容易ではないため、そのぶん参入障壁が高くなります。運営業者が持ち込む場合でも、投資分を回収する必要があるので、その分オーナーの取り分は減ることになります。
- つまり、設備機器の導入費用が少なければ少ないほど、そこから上がってくる利益は大きくなるということになります。それは、初期投資に1,000万円かかるのか、100万で済むのかを想定すれば明らかです。精算機やゲート、ロック装置のないフルキャッシュレス駐車場は、それらが設置されている駐車場と比較し、1/10以下、場合により数十分の一のコストでスタートが切れるのです。
- 初期投資額が大きいと簡単に撤退できなくなったり、業務委託をする場合は契約期間で縛られることになったりして「経営の自由度」が低くなりますが、フルキャッシュレス駐車場なら収益状況や社会状況を見て撤退すべきと判断した時に、即時に撤退できる身軽さを備えています。
現金回収や釣銭釣札補充、駐車券詰まり・紙幣硬貨詰まりなどの機器トラブルで困っておられない方は皆無でしょう。フルキャッシュレス駐車場では、初期投資が極端に少なくて済み、しかも現金を触らない(売上金の集金をしなくてよい)のでランニングコストは極小化します。売上金盗難の心配もありません。
初期投資も、ランニングコストも極小化すれば、当然ながら利益は拡大します。
メリット |
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デメリット |
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さらに欧米では、Visaなどコンタクトレス(非接触)クレジットカード(近距離無線通信規格NFC typeA/Bに準拠)が普及していますので、タッチ決済ができるようになっています。特にロンドンではタッチ決済が主流となっているそうです。
日本でもマクドナルドやイオンではタッチ決済を導入しています。クレジットカードのタッチ決済が普及するとクレジットカードの利便性は大きく向上することになります。
磁気式のクレジットカードは徐々になくなり、ICカードに切り替わっていきます。駐車場の精算機もICカードに対応するため新たな決済端末を導入し始めています。新たな決済端末はICクレジットカードのみならず、多様な決済に対応するものとなっています。
→ 今のところ駐車場の精算機で使えるところはほとんどないようです
- デビットカードは小売業では普及しつつありますが、駐車場ではまだほとんど決済手段としては採用されていないようです。
→ 交通系電子マネー&流通系電子マネー
- 交通系電子マネーは、全国で幅広く利用されています。駐車場とも相性が良く色々な駐車場で決済手段として採用されています。関東圏では、Suicaが有名です。関西圏では、ICOCAやPITAPAが有名です。
- 流通系電子マネーは、WAON、nanacoや楽天Edyなどです。
- これらは、電子マネーで非接触型ICカードであるので、駐車場においては非接触カードリーダーを精算機に搭載することでキャッシュレス決済が可能となっています。
南海電鉄や三井住友カードなど4社は、タッチ決済機能のあるVISAブランドのクレジットカードを乗車券として使う実証実験を2021年春に始めると報道されています。クレジットカードの他、デビットカードとプリペイドカードを実験用の専用改札機にかざして運賃を精算するとのことです(日経新聞・地域経済2020.12.25)。またJR西日本は、2023年春に交通系ICカードICOCAのスマホアプリ化を計画していると報道されています。
→ QRコード決済
- スマホ決済とは、スマホにインストールした専用アプリを通じて決済するものです。
- QRコード決済は、最近大変普及してきています。PayPay、LINE PAY、auPAY、楽天ペイ、メルペイなどが知られています。
- 駐車場では、精算機にQRコードの読み取り機を搭載することでキャッシュレス決済が可能となっています。PayPayを例にとって説明します。精算機にはQRコード読み取り機(QRコードリーダー)が搭載されており、それにPayPayの「支払い」画面(バーコードやQRコードなどが表示されている画面)を表示させた状態で、読み取り機にそれをかざすという方法です。
次回のWEBセミナーは、決まりしだいご案内いたします。